●日常生活に武道家魂を活かす 最終回●
これまで11回にわたり、「日常生活に武道家魂を活かす」と題して綴ってまいりました。今回は最終回として、日常生活に活かす武道とは何だ、ということを改めて整理しておきたいと思います。
私たちは武道の修行を通して、諦めずに乗り越えようとする気持ちの大切さを学びます。そして集中力を持続させることを覚えていきます。
もちろん運動という側面においては、全身をバランスよく動かすことで身体能力を向上させ、バランス感覚を研ぎ澄まし、さらに内蔵機能にも作用します。健康づくりが課題として問われている昨今、非常に効果的な身体の活性方法であることは言うまでもありません。
しかし何より武道の修行で特徴的なのは、動きの中で常に自己の精神 (内面) と向き合い、制御しようとすることであると言えます。例えば「型」を行う時、頭から足の先まで己がどうあるのかを捉えていなければなりません。もしそれを把握できず気の集中が疎かになっていれば、技の鋭さ、バランス、全体の流れが統一感のないものになってしまいます。
つまりひとつひとつの技を、そしてそれらを応用した型を、繰り返し練習していくことが精神力の鍛錬にも通じていくということなのです。
「道」がつくものに完成形はありません。これで完璧、はないのです。
人生も同じです。人生半ばで、これで完了などということは有り得ないからです。人生とは、こつこつ歩んでいくもの。途中で飛び越えることは出来ないし、時間を戻すことも出来ません。しかし、人生はすべてが繋がっています。その一瞬一瞬が、次の瞬間へと積み重ねられていくのです。
日常生活のどんなシーンでも、すべてが次の日常への土台となっていきます。武道の修行を通じて培っていく心の持ち様は、日常の事柄をよく感じ取り、よく考察し、そして行動に移す確かな糧となるのです。
「日常生活に武道家魂を活かす」とは、鍛錬を通じて人生を有意義に過ごす意識を高め、それを次代に伝えていくことに他ならないのです。
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